今夜は いさはや よもやま話をしましょうね
では はじまりはじまり〜
今日も
諫早弁単語辞典を活用してくださいね
■いさはや よもやま話 ふうけむこさん(久山地区ほか)
むかしね、若い婿さんと嫁さんがいました。嫁さんは働き者の
よい嫁さんなのですが、婿さんはちょっとばっかり ふうけた
婿さんでした。
あるとき、嫁さんの里に手伝いに来てくれというので、婿さんが
出かけました。
嫁さんの家では田んぼの仕事で大いそがし。
婿さんもいっしょうけんめい手伝いました。
仕事が終わると嫁の親さんは
団子をたくさーん作って食べ
させました。
婿さんはそれがとてもおいしかったので、うまそうに食べます。
おなかいっぱい食べると「こりゃ なんていう もんじゃろか」と
たずねました。
親さんが「こりゃダゴ(団子)って」といいました。
婿さんは「そう、ダゴっていうもんばいね」というと、戻ったら
嫁さんに作ってもらおうと思って、帰るときには「ダゴ、ダゴ、
ダゴ……」と忘れないように、ずーっといいながら歩いていました。
その帰り道には、ちょうど真ん中あたりに川があって、飛び石の
渡しがありました。
それを飛んで渡るのですが、婿さんはそこに来ると、「ピントコ」
といいながら渡りました。
ところが石がいくつもあるものですから、「ピントコ、ピントコ、
ピントコ……」といって渡ってきました。
だものですから、家に帰ってきたときにはダゴはもうすっかり忘れて、
嫁さんに「かか、おれピントコしてかせろ(俺にピントコを作って
食べさせてくれ)、うまかったじゃ」というではありませんか。
嫁さんはピントコなんて聞いたこともなかったので、
さっぱり分かりません。
「ピントコはない(何)じゃろか」「ピントコはわがえの親の
してかせたたあ、そいけんピントコをえんちもせろ(ピントコは
おまえの家の親が作って食べさせてくれたじゃないか、だから
わが家でもつくってくれ)」というのです。
嫁さんがなかなかわからないので婿さんは「うまかとの、丸かったい」
と話してきかせるのですが、いくら話しても嫁さんには何のことやら、
さーっぱり見当がつきません。
とうとう嫁さんが「おりゃピントコは知らん」というと、婿さんは
「なしわからんとかね」と火ふき竹でポッと嫁さんの頭を
たたきました。
すると嫁さんの頭にポコッとコブができました。
まーるいコブです。
嫁さんが「とーろしか、ほんにダゴのでくっごと(まるで団子が
できたみたい)」というと「うーん、そのダゴ、ダゴたあ」と
婿さんはようやく思い出しました。
「おっとーダゴやったとばいね」と嫁さんはいうと、婿さんに
団子を作ってやりました。
そいばっかい。
■諫早史談会 川内 知子
■絵:中路 英恵さん
■「とーろしか」は、驚いたときなどに使われる言葉です
■「そいばっかい」は昔話のおしまいの決まり文句のひとつです
諫早市役所が発行している市報の中の話を掲載させていただいてます。